JA柳川とJA全農ふくれん、担い手サポートセンター、南筑後普及指導センター、柳川市でつくる「子実用とうもろこし試験栽培プロジェクト」は8月下旬、子実用トウモロコシ収穫の実演会を行った。JAは、稲作転換作物としての子実用トウモロコシ導入に注目。同プロジェクトを立ち上げ、2022年度に初めて試験栽培を行っている。
初めに、ふくれんから、栽培実証試験の概要や進捗(しんちょく)状況について説明した。天候に恵まれ、10㌃当たり約800㌔の収量を見込んでいる。
その後、汎用(はんよう)コンバインやコーンヘッダについて、三菱マヒンドラ農機㈱とヤンマーアグリジャパン㈱の担当者が紹介。収穫の実演を行った。
試験圃場(ほじょう)は、農事組合法人しもたなが4月5日に播種(はしゅ)した。作付面積は約43㌃。収穫した子実用トウモロコシは、加熱圧ぺんし、単体飼料として博多和牛生産者へ提供される予定だ。
子実用トウモロコシは、飼料用トウモロコシの「子実」部分だけを収穫し、乾燥させ、飼料用穀物として利用する。食料自給率の向上と水田転換畑の地力向上につながると期待されている。全国でも、新たな転作作物として導入の検討が進んでいる。
米の消費減に伴い米価が低迷する中、水田の高度利用は水田経営体の存続に欠かせない課題だ。転作奨励政策が始まって以来、大豆が重要品目として奨励されてきたが、近年、単位面積当たりの収量が減少傾向となっている。水田の地力低下が原因の一つとみられている。
そうした中で、子実用トウモロコシは飼料用としてのニーズが高い上、収穫後の残さを圃場にすき込むことで、後作となる畑作物の収量向上効果が期待できる。
日本農業新聞9月3日