スナップエンドウ(マメ科エンドウ属)
土壌医●藤巻久志
エンドウにはサヤエンドウと実エンドウがあります。実エンドウの未熟の豆をグリーンピースといい、1970年代後半に米国で豆が大きくなってもさやが堅くならない「スナップピー」が育成されました。スナップはポキンと折れるという意味で、ピーは豆です。日本では坂田種苗(現・サカタのタネ)が「スナックエンドウ」の名前で販売しました。
種苗会社の営業パーソンは新品種普及のため、試作した野菜を持って全国の青果市場を回り、関係者に試食してもらいます。スナックエンドウのときは仲買人に「さやごと食べられます」と勧めても信用されず、グリーンピースのようにさやをむき、豆だけ食べようとされました。
地道な営業活動により、甘くサクサクした食感が消費者に受け、各地に産地が形成されました。その後、同タイプの品種が多く出回るようになり、83年に農林水産省は統一名称を「スナップエンドウ」にしました。
スナップエンドウは今も人気です。春になるとほとんどのスーパーに並びます。家庭菜園では最も栽培されている品目の一つで、家庭菜園愛好家の3人に1人は栽培しています。病虫害に強く、収穫期間が長く、さやがびっしりと付きます。
インゲンは筋なし品種が主流になりましたが、エンドウはほとんどの品種が筋ありです。エンドウの筋取りは子どものお手伝いの定番です。遊び盛りの子どもにとっては嫌でたまらないお手伝いでも、大人になれば家族との良い思い出になります。
丸々と太ったスナップエンドウは筋を取り、ゆでたり炒めたりして和洋中の料理に利用します。ゆで過ぎや炒め過ぎは風味を損ないます。サラダやビールのおつまみにも適しています。
当時、坂田種苗の営業パーソンが作ったというCMソングを思い出します。
♪スナックエンドウ おいしいエンドウ さやごと食べられるぅ あっ、もう食べちゃった ジ・エンドゥ♪