コスレタス(キク科アキノノゲシ属)
土壌医●藤巻久志
レタスの原産地は地中海沿岸から西アジアにかけてです。和名は「ちしゃ」です。切ると白い液が出るため乳草とも呼ばれ、それが変化して「ちしゃ」になりました。
レタスは「玉(結球)レタス」、サニーレタスなどの「リーフレタス」、サンチュなどの「茎レタス」、今回紹介する「コスレタス」の四つに大きく分けられます。日本では流通している物のほとんどが玉レタスでしたが、韓国料理やイタリア料理などの普及に伴い、その他のレタスも食べられるようになりました。
コスレタスの名前はエーゲ海のコス島で栽培されていたからで、ロメインレタスともいいます。ロメインはローマのことです。葉を巻き込まずに立った状態で、タケノコ形に成長することから和名は「立ちちしゃ」です。
レタスは鉄製の包丁で切ると鉄と反応し、切り口が赤茶色になります。乳状の液に含まれているポリフェノールの酸化が早まるためです。包丁を使うと細胞が壊され鮮度が落ちますが、手でちぎると断面が粗くなるので、ドレッシングが絡みやすくなります。
コスレタスは葉が厚く、シャキシャキとした食感が魅力で、シーザーサラダの食材として有名です。古代ローマの英雄ジュリアス・シーザーが好んだサラダというのは俗説です。シーザーサラダは1924年7月4日(米国独立記念日)に、カリフォルニア州に接するメキシコの町で、イタリア系移民の料理人・シーザーが考案し調理しました。
元祖ディズニーランドがある米国西海岸は新婚旅行の人気エリアでした。レストランではコスレタスだけを縦割りにして皿にのせたものが出されました。レタスだけを意味するレタス・アローンがレット・アス・アローン(私たちだけにして)に似ているので、レタスだけのサラダをハネムーンサラダといいます。