ベランダでできるキッチンガーデン
ソラマメ(マメ科ソラマメ属)
土壌医●藤巻久志
ソラマメは漢字では、さやが空を向いて付くから空豆、さやが蚕に似ているから蚕豆と書きます。
1980年代に宮城県北部の築館町(現栗原市)に春まき栽培の産地ができるまでは、ソラマメの秋まき栽培の北限は同県南部の村田町とされていました。当時は宮城県以北ではソラマメの流通はなく、エダマメのようにさやごとゆでるものだと思っている人もいました。
江戸っ子はソラマメを食べないと夏を迎えられません。大相撲が蔵前国技館で行われていた夏場所、秋葉原の旧神田青果市場では房州(千葉県)の初物のソラマメが初日に最高値で取引され、千秋楽に向かって徐々に値下がりしていきました。今は、鹿児島産のソラマメが年内から出回っています。
ソラマメの豆は空気に触れるとすぐに硬くなるので、さや付きのまま流通しています。収穫した瞬間から鮮度が落ちていきます。キッチンガーデンなら、新鮮取れたてのソラマメを味わうことができます。
10号(30cm)以上の鉢や大きなプランターに市販の培養土を入れ、日当たりと風通しの良いベランダで育てます。10月から11月上旬が種まき適期です。鉢なら真ん中に、プランターなら株間25cmに2~3粒を、「おはぐろ」を斜め下に2~3cmの深さに押し込みます。本葉2枚までに間引きして1本立てにします。
追肥は耐寒力をつけるための12月と、生育が盛んになり始める2月に1000倍の液肥を施します。窒素肥料が多過ぎると、茎葉ばかり茂ってさやが付かないことがあります。防寒と保湿のために、株元にわらや腐葉土を敷きます。冬の間は乾燥気味にし、生育が盛んになったら、午前中に水やりします。水のやり過ぎは根を傷めるので、夕方には土の表面が乾く程度にします。
春に分けつした茎が伸びるので、元気な物を5~6本残し、他は切り除きます。さやが十分膨らんで、上向きだったさやが横から下向きになったら収穫適期です。
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