9月に種まきしたタマネギは、苗が大きく育った10月下旬から11月が植えどきです。 タマネギは真冬に入るまでに十分地中に根を張らせ、春になったらすぐに勢い良く育つようにすることが大切です。そのためには元肥を適切に施し、特にリン酸成分を欠かさずに(火山灰土壌では多めに)与えておくことが大切です。根の性質が特異的で、通気性の良さを好まず、乾燥を嫌うので、元肥に堆肥は与えず、植え付けた後に株元を鎮圧しておくことが大切です。また、油かす、魚かすなどを与えるとタネバエが発生することがあるので、これらは与えないようにします。 植え付け方法には植え溝を掘り、化成肥料、溶成リン肥(または過石)などを施して土を掛け、並べて苗を植える列植えと、肥料をベッド全面に耕し込んで穴開き黒色ポリフィルムを敷き、その穴に苗を挿し植えするマルチベッド植えがあります。 列植えは植え付け作業が早く、苗の姿勢がそろいやすく、踏み付け鎮圧がしやすく、また生育後期に列間に後作(例えばインゲンマメ、ラッカセイ、ショウガなど)を植え付けることにより、輪作を効率的に行うことができる利点があります。 マルチベッド植えは、地温を高め、乾燥を防いで生育を促し、肥料の流亡を減らし雑草を抑止する効果があります。ただし植え付け、鎮圧には手間がかかります。両方の得失をよく考えて選択してください。 植え付け作業のポイントは、苗床から苗を抜き取るとき、乾いていたら灌水(かんすい)し、苗の大きさをよくそろえるよう、根を十分付けて抜き取り、植えるときには、根をできるだけ下方に向けて深く入るよう植えることです。ベッド植えでは木製の穴開け道具で植え穴を開けておくと能率良く作業が進められます。植えた後は、前述の根の特性上、株元を十分鎮圧(列植えでは足で踏み固め、ベッド植えでは指先で株元を締め付ける)しておくことです。植え付けの深さは図のように根の上に土が2cmほど掛かるようにします。緑の部分に土が掛かるのは深過ぎて、後の育ちが良くありません。 植え付け後に畑が乾き過ぎるようなら、2~3回ほど株元に灌水すると活着が早まります。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。
板木技術士事務所●板木利隆
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