アスパラガスは野菜の中では長命で、上手に管理すれば10年間は収穫を楽しめます。来年も良い若茎がたくさん出るよう、手入れを怠らないよう心掛けましょう。
アスパラガスの成長を年間で考えると、若茎の収穫を打ち切ると茎葉の育ちは活発になり、葉を開いて光合成を行い、9月以降になると同化養分が貯蔵根に蓄えられます。11~12月には休眠に入り、霜が2~3回降り葉の黄化が進んで最も深い休眠期に入ります。
葉が完全に黄変したころを見計らって、地際から5~7cmの茎を刈り取り、その場で乾かし、畑の外に持ち出して処分しますが、焼却できれば最良です。というのも、この茎葉はアスパラガスの大敵である茎枯れ病や斑点病にかかっているものが多く、病原菌が茎葉の中で越冬し翌年の発生源になるからです。できるだけ散らさずに、丁寧に集めて処分することが肝心です。
茎葉を片付けたなら、株元に多くの土寄せをしていた場合には、土を畝間に戻し、少なかった場合はそのまま、畝間の通路部分を中耕しながら、畝の両側に深めの溝を掘り、その中に粗め(発酵度が中程度)の堆肥や、干し草などと油かすを施し、アスパラガスの根株を埋めるように畝上に土を大きく上げておきます。こうすることで根株を防寒できるので、寒さが厳しい地域ほど盛り上げる土を多くしておきます。
越冬後の3月ごろ「寄せ土戻し」として、萌芽(ほうが)に支障のない程度に土を取り除き、畝間に落としてやります。
その際に、春の追肥として緩効性の化成肥料や有機配合肥料などを、1株当たり各大さじ2杯程度を目安に与えます。
このように再三土を動かすことにより、地面付近に落ちていた雑草種子の発芽を抑え、除草の手間を省きます。
栽培年数が経過し、株元の根系が過密になり、根全体が浅く盛り上がるようになったら、冬の休眠中に根株全体を掘り上げ、分割して、他の畑に株間を広く取って植え替え、再び勢を回復させることもできます。
新しい品種も生まれているので、これらに切り替えることも必要です。自分で育苗する場合は3月ごろセルトレイ(72穴)に数粒種まきし、1年がかりで苗を仕上げます。春に出回っている苗を買い求めて植え付ければ、より早く品種の更新を図れます。
板木技術士事務所●板木利隆
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